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ロボット

ロボット


人間と人間が作り出したロボットとの在り方。

近未来のある都市では、ロボットの暴走事件が連続して起きていた。誰かが何かの目的でロボットを操作しているのかそれとも…。

SFファンタジー短編の予定です。

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キャンパス

キャンパス


大学の中庭にいた君は


絵を描いていた。

平凡な大学生と画家を目指す女子学生の淡く、儚い恋。短編の予定です。

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ロボット1

ロボット


2061年。

「おはようルーク。」

「おはようございます。ジェイシー様。今日は11月26日火曜日。最高気温は9度です。今日の最新のニュースをお知らせしますか?」

「ううん。今日は早く出かけるから後で聞くよ。コーヒーを頼む。」

「かしこまりました。」

ルークはコーヒーを入れるため、キッチンに向かった。


ルークはロボットだ。ルークの正式な名前はFU-type2-0349。家庭用執事ロボットである。この家の主人であるジェイシーの身の回りの手伝いをしている。

ルークはキッチンの操作パネルにアクセスし、コーヒーメーカーを作動させた。

「今日もミーティングの後は、街の調査に出かけるから遅くなると思う。夕食は外で食べてくるから何もしなくていいよ。あぁ、帰ってきたら風呂にはすぐ入りたいから九時には準備しておけよ。」

ジェイシーはクローゼットからジャケットを出しながら言った。

「かしこまりました。九時ですね。」

ルークはコーヒーカップをテーブルに置きながら、データを登録した。

「ありがとう。」

ジェイシーは、コーヒーの香りを楽しみながら今日のスケジュールを頭に並べ、ため息をついた。


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ロボット2

ロボット


「ルーク、今日のニュースを教えてくれ。」

ジェイシーは車を自動走行に切り替えながらナビゲーションマイクに話しかけた。

『かしこまりました。今日の主なニュースは3項目あります。1項目、連日発生しているロボットの制御不能、人間への襲撃事件です。』

「またか…。」

ジェイシーはナビゲーションディスプレイをルークが転送しているニュース映像に切り替えた。

『事件発生場所はE区画の12エリアです。深夜2時18分、現場を通りかかった男性にロボットが突然襲い掛かったそうです。幸い男性は近くにいた人々に助けられ、軽症で済んだようです。ロボットは破壊されました。』

映像は警察が倒れているロボットの周りにパーテーションを張っているところだった。

『破壊されたロボットは現在、警察署に運ばれICを調べているところです。』

「ありがとうルーク。それにしてもロボットが突然暴走するなんて未だに考えられないな。誰かがロボットにやらせてるとしか思えないが、そう簡単にできるものなのか?」

ジェイシーはディスプレイに話しかけた。

『ロボットは製造時にICにそのロボットのするべき役割をプログラミングされます。その役割以外の行動をさせるにはそのICにログインする必要がありますが、ログインするには製造元のコンピュータに接続し、専用のIDとパスワードを入力しなければなりません。ロボットに新たな行動パターンをさせるようにできるのは、その製造元しかないと言えるでしょう。』

ディスプレイからルークは説明した。

「そうだよな。」

ジェイシーはルークにうなずいた。

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ロボット3

ロボット


警察署に着くと、ミーティングルームにはすでに何人かの仲間が待機しているのがガラス越しに見えた。

「おはよう。状況は?」

ジェイシーは入り口のすぐ隣で話していた仲間の二人に近寄った。

「あぁ、ジェイシー。今、ロボットのICを調べたやつが来てボスに報告中だ。もうすぐ終わるだろう。」

手前の仲間が答えた。

「オレは昨日現場に行ったんだがそのときはまだロボットは暴走していたんだ。街の連中が数人でそのロボットを壊しているところだったよ。やられているのがロボットじゃなければありゃ、集団リンチだな。」

奥にいた仲間が疲れた顔をしながら言った。

ジェイシーはさっき見た映像を思い出した。ロボットは手足をあらぬ方向に曲げ、顔は半分殴り潰されていた。

「おはよう、みんな揃っているか?」

ボスがミーティングルームに入ってきたところでジェイシーは椅子に座った。

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ロボット4

ロボット


「みんな集まっているな。聞いてくれ。昨夜発生したロボット暴走事件だが、ICの解析が終わった。事件のロボットは業務用調理ロボットで、近所のレストランの厨房にいた。その店の店主によると最近調子が悪くなり、型が古いこともあって新しい調理ロボットに買い替えたらしい。で、廃棄処理の金がもったいないって事で不法投棄したとの事だ。」

ロボットを処分するには処理会社に引き取ってもらい、ICのデータを消去し、再利用することが法律で決められている。近年では処理費用を払いたくないために、不法投棄をする者が後を絶たない。事件が発生したE区画は、不法投棄が一番深刻な地域だった。

「ICの方だが、特に異常な情報や何者かが手を加えた様子はなかった。ロボットの製造元の人間にも調べてもらったが、特におかしな点はないそうだ。」

仲間の誰かがため息をついた。

「…ただ、一点だけ内容が分からない情報があった。製造元がICを作成した段階ではプログラミングしていないらしい。わずか一行の情報コードで、内容も解読できないそうだ。しかしロボットには学習機能が付いているから、何か必要の無い情報コードを学習してしまったんじゃないかというのが製造元の意見だ。」

腕時計を見ながらボスが言った。

「ミーティングは以上だ。みんなそれぞれの持ち場に移動して現場の聞き込みに当ってくれ。」

ボスの指示にうなずき、仲間たちはルームを出て行った。

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ロボット5

ロボット


ジェイシーは仲間と一緒に街へ聞き込み調査に向かった。昨夜事件のあった近辺ではこの話題で持ちきりだった。

「昨日のロボットには驚いたね。本当に狂ったように暴れてさ。ロボットってのは金属でできてるだろ?あんなのに殴られたら人間はひとたまりもないね。」

事件現場から道を挟んだ反対側のカフェの女主人は首を振りながら言った。

「事件が起こる前に何か異変はありませんでしたか?」

ジェイシーが聞いた。

「いつもと同じ夜だったよ。あたしはここで皿を片付けてたら突然騒がしくなってさ、外を見たらロボットが男に襲い掛かってたんだ。本当に狂った様にさ。あんなの見ちまうとうちのロボットは大丈夫かと心配になっちまうねぇ。」

「そうですね。早く可決できるよう我々も全力を尽くしてますから。ご協力ありがとうございました。」

一緒に聞き込みをしていた仲間が女主人に礼を言って店を出るのにジェイシーも続いた。

「特に新しい情報もないな。手がかりになるような証言もなかったし。」

仲間がジェイシーを振り返って言った。

「そうだな。それにしてもロボットに対する不安が広まってるな。早く解決しないと混乱になりそうだ。」

「あぁ。ロボットは一家に一台の時代だからな。ま、異常を調べるにも数が多すぎる。闇雲に調べても何も分からないだろうな。」

「一度署に戻って今までの事件を洗いなおそう。」

二人が署に帰ろうと歩き始めたときだった。

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キャンパス1

キャンパス


初めて彼女を見かけたとき、彼女は一人熱心に絵を描いていた。

大学3年の5月、僕はいつものように中庭を横切り、大教室へ向かっていた。

携帯の着信音が流れたので立ち止まり受話ボタンを押した。

「もしもし。」

『あ、おれ~民法ちょっと間に合わないから出席カード貰っといて~』

「またかよ。」

遅刻常習犯の友人に苦笑しながらふと目の前のベンチを見ると一人の女子学生がスケッチブックのようなものを広げ熱心に何かを描いていた。

法学部のキャンパスで、一人で、スケッチブック…?

僕は友人と電話していることも忘れ、その女子学生を見つめていた。

いまどき珍しい黒くまっすぐな長い髪。淡いグリーンのカーディガンに白のロングスカートがさらさらと風になびいていた。

時折空を見上げながらスケッチブックに鉛筆を走らせるその姿は、何かの物語の1つの風景のように、周りの景色とは違う世界に見えた。空を見上げるとき、太陽が眩しいのか少し目を細めていて、その表情が微笑んでいるように見えて僕は目を奪われていた。

『おーい、聞いてるかー?』

携帯から聞こえてきた友人の声で我に返り、慌てて女子学生から目を離した。

「あぁ、うん、ごめん。よく聞こえなかった。何?」

『だから、オレが教室に入りやすいように後ろの入り口の近くに座ってくれって言ったの。』

「あぁわかった。その辺座っとく。じゃあとで。」

友人の返事も聞かずに電話を切り、もう一度女子学生のほうを見た。

女子学生はしばらく空を見つめたまま、手を止めていたが、おもむろにスケッチブックを閉じ、大きなバッグに入れ立ち上がった。

そのまま、僕が見つめていることにも気づかず、北校舎に入って行った。

僕はしばらく彼女が去っていった方向を眺めていたが講義の時間が迫っていることに気づいて慌てて教室へ向かった。

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ロボット6

ロボット


「暴走ロボットだー!!」

突然後方から叫び声が聞こえてきた。

ジェイシーと仲間は急いで声のした方へ走った。

道の角を曲がると1つの民家の入り口に人が集まっていた。

「警察です!何があったんですか!?」

ジェイシーがその中の一人に聞いた。

「この家のロボットが突然暴れだしたらしい。」

その言葉を聞いてジェイシーと仲間は家に突入した。

「どうしました!?」

「うちのロボットが突然私に襲い掛かってきたの!早く止めて!」

リビングに入るとこの家の夫人と思われる女性が叫んだ。ロボットが部屋の中央で倒れながら、手を振り回して攻撃する相手を探しているようだった。女性はロボットから身を守るために壁に張り付いていた。

ジェイシーは仲間と急いでロボットを押さえ、電源スイッチを探して電源を落とした。

「何があったんですか?」

ジェイシーは女性に聞いた。

「はい。そのロボットはうちの掃除ロボットなんですけど、最近調子が悪いみたいだったのでコントロールパネルを見るために背中を開けようとしたら、突然暴れだしたんです。」

女性はロボットに恐る恐る近づきながら答えた。

「そうですか。このロボットのICを調べたいので、お借りしてもいいですか?」

仲間がロボットを起こしながら女性に聞いた。

「え、えぇ。いいですよ。…でも、あのちゃんと戻ってきますか?」

「もちろんです。調査が終わったらきちんとお返しします。」

女性に微笑みかけながら仲間が言った。

「そうですか。この子今まで本当によく働いてくれたので、大切なんです。」

女性はまるでわが子のようにロボットを心配しているようだった。

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ロボット7

ロボット


その後はなし崩しに事件が頻発するようになった。ジェイシーは昼も夜も事件解決のために街を走り回った。

事件は遂に30件を越え、街は混乱に陥っていた。今まで自分の隣で静かに言うことを聞いていたロボットが突然襲いかかってくるかもしれないという恐怖に、ロボットを放り出す人が出始めていた。

ジェイシーは久々に自宅に帰り、事件を整理していた。

これまでの事件を並べてみてなにか手がかりはないだろうか?

本部で解っていることは、

発生地域がE区画を中心に広がっていること。

暴走したロボットの種類に、比較的家庭用家事手伝いロボットが多いこと。

ICに解読できないデータが入っていること。

だけか…。


しかしロボットの種類が似てると言ってもすべて同じじゃないし業務用も含まれてる。製造会社もバラバラだ。やはり種類は関係ないのか…?

解読不能のデータにしたって共通のコードならそれが怪しいと言えるかもしれないが、みんなそれぞれ違っている。専門家が言っていたように不要なデータを学習してしまっただけなんだろうか。

ジェイシーはファイルから目を離し一息ついた。

ふと壁のカレンダーに目が止まる。


2061年12月16日。


そういえばロボットの製造年はどうなっていた?

ジェイシーは急いで最初の事件から製造年を抜き出した。

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ロボット8

ロボット


一番古いロボットが18年前、一番最近のもので7年前に造られたものだった。

…特に共通点があるわけではないか。古いものと言うより、新しいものがないというだけだ。

「うーん。」

ジェイシーは腕を組んで唸った。

そういえばルークが家に来たのはいつだった?

ジェイシーは記憶を辿った。確かこの家に来てすぐ買ったんだから………11年前だ。

事件を起こしたロボットは比較的古く、家事手伝いロボットでE区画が多い…。

ルークも当てはまるのか。

「……………。」


「ジェイシー様、何かお飲み物をお持ちしましょうか?」

「!!!」

ガタッ!

ジェイシーは思わず椅子から立ち上がった。

「……どうかされましたか?」

ルークはジェイシーを見上げて言った。

「あ、あぁごめん。考え事してて…。飲み物はいい。ありがとう。」

ジェイシーは椅子に座りながら答えた。

「そうですか。他に必要なものはありますか?」

「いや、いいよ。俺ももう止めるから君も休んでくれ。」

「かしこまりました。」

ジェイシーはルークが部屋を出ていくのを見送った。
ルークに限ってそんなことあるはずない。なにを疑っているんだ。

ジェイシーはひとつため息をついて寝室へ向かった。

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ロボット9

ロボット


 翌朝ジェイシーはボスに自分の考えを報告しようか迷っていた。事件を解決に導く情報としてはあまりにも曖昧で、不確かなものだった。

 その上そんな悩みも忘れてしまうような指示が上から出されたのだった。

「我々の自宅のロボットを停止させる!?ボス、どういう事ですか!?」

仲間の1人が聞いた。

「これだけたくさんのロボットが暴動を起こすと警察官の安全も脅かされるかもしれない。警官が自宅のロボットに襲われて事件が起こった時に出動できなかったなんてことになったら困るからだ。」

ボスは苦しい顔をして告げた。

誰もが苦い顔をしている。当然のことだ。ロボットは社会になくてはならない存在になっていた。生活の細部までロボットが浸透しており、もはやロボットのいない生活など考えられない世の中になっていたからだ。

ジェイシーは別のことを考えていた。

ロボットを止めるという事はルークと会話ができなくなるということだ。今まで毎日色々な話をしていたルークがいなくなると考えただけでジェイシーは心が締め付けられるのを感じた。

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ロボット10

ロボット


自宅のロボットの件は命令を無視する人間が出る可能性があるとして、1週間後に自宅を点検すると言われてしまい、全員が従わざるを得ない状況になってしまった。

ジェイシーはその日の仕事を終えると、沈む気持ちを抑えながら自宅に向かった。普段なら車からナビゲーションマイクを使ってルークと会話しながら帰るのが習慣だったが、今日は何を話せばいいのか分からず、1人沈黙していた。

「お帰りなさいませ。ジェイシー様。」

「ただいまルーク。」

「今日はお疲れのようですね。顔色が優れません。もうお休みになりますか?」

「ありがとう。シャワーを浴びるよ。」

ジェイシーは努めていつも通りを装った。

こんな時でも自分を心配してくれるルークが哀れだった。執事ロボットは主人の顔色、声質、体温を瞬時に測定して判断しているだけだ。しかし、今のジェイシーには辛い事だった。

バスルームから戻ると、ルークが紅茶を入れていた。

「蜂蜜入りの紅茶でございます。体が温まりますよ。」

「いただくよ。」

ジェイシーは甘い紅茶を一口飲み、気持ちを断ち切るように切り出した。

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ロボット11

ロボット


「ルーク、実は君に言わなければならない事があるんだ。」

「はい、なんでしょうジェイシー様?」

ジェイシーは、ルークの目を正面から見据え、言った。

「ロボットの暴走が多発してるだろ?俺達警察は事件解決の為に捜査してるわけだけど、これだけたくさんのロボットが暴走していて、その原因が解明できないとなるといつどのロボットが暴れ出すか分からない。そしてロボットは警察官の家にもいる。」

「…。」

ルークはジェイシーから目を逸らさず、どこまでも従順に話を聞いている。

「俺達警察が事件が発生して出動しようとしてるときに、自分の家のロボットに襲われてたなんて事になったら困るということで自宅のロボットを停止させろという命令が出てしまったんだ。」

ジェイシーはそこまで一気に話してしまうと、ルークの顔を見ていることができず思わず下を向いた。

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ロボット12

ロボット


「…そうですか。」

ルークか呟いた。

「もちろん俺はルークが暴走するなんて思ってない!君は大切な友達だから。ただ上からの命令は無視する事はできないんだ…。ちゃんと停止させたか確かめに来るって言われてしまって。」

「信じてくださってありがとうございます。でもそれなら早く停止していただかなければなりませんね。上の方に逆らったと思われては私が申し訳ありませんから。」

ルークは全てを分かったように言った。

「すぐに事件を解決して君を起動させるから!少しの間だけ我慢してくれ。」

ジェイシーはルークの顔を両手で包んで謝った。

「私はジェイシー様を信じております。お世話ができなくなってしまって申し訳ありませんが少しの間お休みさせていただきます。」

ジェイシーはどこまでも自分に全てを捧げていてくれるルークに心が締め付けられた。そしてルークの額に自分の額をつけて静かに告げた。

「ありがとう。すまない。」

ルークの頬に当てていた手をそっと背中に回し、電源スイッチを押した。

「機能を停止します。」

ルークのいつもとは違う機械的な声で言い、体の中で停止音がした。

やがてルークの青く輝いていた瞳から光が消え、あたりは静寂に包まれた。

ジェイシーはルークの前でいつまでも俯いていた。

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2010.11.11【 ロボット

 人間と人間が作り出したロボットとの在り方。近未来のある都市では、ロボットの暴走事件が連続して起きていた。誰かが何かの目的でロボットを操作しているのかそれとも…。SFファンタジー短編の予定です。...全文を読む

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2010.11.11【 キャンパス

 大学の中庭にいた君は絵を描いていた。平凡な大学生と画家を目指す女子学生の淡く、儚い恋。短編の予定です。...全文を読む

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2010.11.11【 ロボット

 2061年。「おはようルーク。」「おはようございます。ジェイシー様。今日は11月26日火曜日。最高気温は9度です。今日の最新のニュースをお知らせしますか?」「ううん。今日は早く出かけるから後で聞くよ。コーヒーを頼む。」「かしこまりました。」ルークはコーヒーを入れるため、キッチンに向かった。ルークはロボットだ。ルークの正式な名前はFU-type2-0349。家庭用執事ロボットである。この家の主人であるジ...全文を読む

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2010.11.11【 ロボット

 「ルーク、今日のニュースを教えてくれ。」ジェイシーは車を自動走行に切り替えながらナビゲーションマイクに話しかけた。『かしこまりました。今日の主なニュースは3項目あります。1項目、連日発生しているロボットの制御不能、人間への襲撃事件です。』「またか…。」ジェイシーはナビゲーションディスプレイをルークが転送しているニュース映像に切り替えた。『事件発生場所はE区画の12エリアです。深夜2時18分、現場を...全文を読む

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2010.11.11【 ロボット

 警察署に着くと、ミーティングルームにはすでに何人かの仲間が待機しているのがガラス越しに見えた。「おはよう。状況は?」ジェイシーは入り口のすぐ隣で話していた仲間の二人に近寄った。「あぁ、ジェイシー。今、ロボットのICを調べたやつが来てボスに報告中だ。もうすぐ終わるだろう。」手前の仲間が答えた。「オレは昨日現場に行ったんだがそのときはまだロボットは暴走していたんだ。街の連中が数人でそのロボットを壊して...全文を読む

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2010.11.13【 ロボット

 「みんな集まっているな。聞いてくれ。昨夜発生したロボット暴走事件だが、ICの解析が終わった。事件のロボットは業務用調理ロボットで、近所のレストランの厨房にいた。その店の店主によると最近調子が悪くなり、型が古いこともあって新しい調理ロボットに買い替えたらしい。で、廃棄処理の金がもったいないって事で不法投棄したとの事だ。」ロボットを処分するには処理会社に引き取ってもらい、ICのデータを消去し、再利用す...全文を読む

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2010.11.14【 ロボット

 ジェイシーは仲間と一緒に街へ聞き込み調査に向かった。昨夜事件のあった近辺ではこの話題で持ちきりだった。「昨日のロボットには驚いたね。本当に狂ったように暴れてさ。ロボットってのは金属でできてるだろ?あんなのに殴られたら人間はひとたまりもないね。」事件現場から道を挟んだ反対側のカフェの女主人は首を振りながら言った。「事件が起こる前に何か異変はありませんでしたか?」ジェイシーが聞いた。「いつもと同じ夜だ...全文を読む

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2010.11.14【 キャンパス

 初めて彼女を見かけたとき、彼女は一人熱心に絵を描いていた。大学3年の5月、僕はいつものように中庭を横切り、大教室へ向かっていた。携帯の着信音が流れたので立ち止まり受話ボタンを押した。「もしもし。」『あ、おれ~民法ちょっと間に合わないから出席カード貰っといて~』「またかよ。」遅刻常習犯の友人に苦笑しながらふと目の前のベンチを見ると一人の女子学生がスケッチブックのようなものを広げ熱心に何かを描いていた。法...全文を読む

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2012.03.06【 ロボット

 「暴走ロボットだー!!」突然後方から叫び声が聞こえてきた。ジェイシーと仲間は急いで声のした方へ走った。道の角を曲がると1つの民家の入り口に人が集まっていた。「警察です!何があったんですか!?」ジェイシーがその中の一人に聞いた。「この家のロボットが突然暴れだしたらしい。」その言葉を聞いてジェイシーと仲間は家に突入した。「どうしました!?」「うちのロボットが突然私に襲い掛かってきたの!早く止めて!」リ...全文を読む

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2012.03.07【 ロボット

 その後はなし崩しに事件が頻発するようになった。ジェイシーは昼も夜も事件解決のために街を走り回った。事件は遂に30件を越え、街は混乱に陥っていた。今まで自分の隣で静かに言うことを聞いていたロボットが突然襲いかかってくるかもしれないという恐怖に、ロボットを放り出す人が出始めていた。ジェイシーは久々に自宅に帰り、事件を整理していた。これまでの事件を並べてみてなにか手がかりはないだろうか?本部で解っている...全文を読む

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ロボット8

2012.03.11【 ロボット

 一番古いロボットが18年前、一番最近のもので7年前に造られたものだった。…特に共通点があるわけではないか。古いものと言うより、新しいものがないというだけだ。「うーん。」ジェイシーは腕を組んで唸った。そういえばルークが家に来たのはいつだった?ジェイシーは記憶を辿った。確かこの家に来てすぐ買ったんだから………11年前だ。事件を起こしたロボットは比較的古く、家事手伝いロボットでE区画が多い…。ルークも当てはま...全文を読む

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ロボット9

2012.03.11【 ロボット

  翌朝ジェイシーはボスに自分の考えを報告しようか迷っていた。事件を解決に導く情報としてはあまりにも曖昧で、不確かなものだった。 その上そんな悩みも忘れてしまうような指示が上から出されたのだった。「我々の自宅のロボットを停止させる!?ボス、どういう事ですか!?」仲間の1人が聞いた。「これだけたくさんのロボットが暴動を起こすと警察官の安全も脅かされるかもしれない。警官が自宅のロボットに襲われて事件が起こ...全文を読む

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2012.05.06【 ロボット

 自宅のロボットの件は命令を無視する人間が出る可能性があるとして、1週間後に自宅を点検すると言われてしまい、全員が従わざるを得ない状況になってしまった。ジェイシーはその日の仕事を終えると、沈む気持ちを抑えながら自宅に向かった。普段なら車からナビゲーションマイクを使ってルークと会話しながら帰るのが習慣だったが、今日は何を話せばいいのか分からず、1人沈黙していた。「お帰りなさいませ。ジェイシー様。」「た...全文を読む

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2012.05.06【 ロボット

 「ルーク、実は君に言わなければならない事があるんだ。」「はい、なんでしょうジェイシー様?」ジェイシーは、ルークの目を正面から見据え、言った。「ロボットの暴走が多発してるだろ?俺達警察は事件解決の為に捜査してるわけだけど、これだけたくさんのロボットが暴走していて、その原因が解明できないとなるといつどのロボットが暴れ出すか分からない。そしてロボットは警察官の家にもいる。」「…。」ルークはジェイシーから...全文を読む

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2012.05.06【 ロボット

 「…そうですか。」ルークか呟いた。「もちろん俺はルークが暴走するなんて思ってない!君は大切な友達だから。ただ上からの命令は無視する事はできないんだ…。ちゃんと停止させたか確かめに来るって言われてしまって。」「信じてくださってありがとうございます。でもそれなら早く停止していただかなければなりませんね。上の方に逆らったと思われては私が申し訳ありませんから。」ルークは全てを分かったように言った。「すぐに事...全文を読む

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